大学入試改革ガイド‐センター試験廃止と新テスト‐

政府の推進する新しい大学受験の在り方

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2020年のセンター試験廃止で大学入試はどのように変わるの?

      2015/10/20

〈POINT〉
評価基準は現在の知識・技能に思考力・判断力・表現力が追加
現在の一般入試・推薦入試・AO入試の区分が廃止され、国が定めた共通ルールにて入試を実施

評価基準は現在の知識・技能に思考力・判断力・表現力が追加
評価基準は現在の知識・技能に思考力・判断力・表現力が追加されたため、思考力・判断力・表現力の能力を判断するために試験内容が教科型に「合教科・科目型」「総合型」「合教科・科目型」「総合型」が追加されています。また英語は筆記(読む)+リスニング(聞く)に加えて「書く」+「話す」の要素が加わりました。

【小路永の視点】
グローバル人材育成のための手法としては非常に良いと思いますが、大きく分けて2つの課題があるかと思います。1つ目は「高校教師の質で運用が可能か」ということです。大学入試改革後は評価基準が知識・技能+思考力・判断力・表現力となり、追加された思考力・判断力・表現力を試すために試験内容には「合教科・科目型」「総合型」が加えられました。高校教師は各教科30~40人の生徒に知識を一方的に伝達する授業をするよう教育実習から指導を受けてきた各教科のプロフェッショナルです。その教師がファシリテーターとなり、生徒とコミュニケーションを取りながらグループワークを通して「教科を横断した学び」を提供することは難しいと思います。そのための研修等が数多く用意されると思いますが、それ以外にも部活等の時間外労働を含めた教師の労働環境が問題になっている中必要な時間を割くことは難しいと思います。個人的には「教科を横断した学び」に関しては教師でない方を外部講師として招聘し、高校教師は基本的には教科授業を専門で行った方が良いと現状は考えています。外部講師に適性がある方は業界問わずプレゼンターやファシリテーターとして活躍しているビジネスマンが良いと思います。企業のCSR事業として公教育と提携し、外部講師を派遣することで企業の認知を含めたブランディングにもなるかもしれませんし、上手くwin-winの関係が築ければ国としても大きなコストはかかりません。地方の学校はどうするか?招聘頻度は?外部講師の資格・条件は?など数多くの課題はあると思いますので、解決策はより具体的に考えてHPを更新していきます。
2つ目は「テスト難易度の高さ」です。原則的に大学受験生は大学入学希望者学力評価テストを受験することとなっており、筆記試験はこの試験に集約される方針です。難関大を受験する生徒も受験するため難易度の高い問題も出題されるため学力の低い生徒は苦戦することが予想されます。恐らく難易度の高い問題は選択式など工夫がされると思いますが、そもそも知識量が少なく、基礎学力が低い生徒が「合教科・科目型」「総合型」の試験を解けることが大学受験を指導している立場からは想像出来ません。幼少からの知識の積み重ね、知識を運用した経験が直接的に反映するため、私立・国公立の中高一貫校と公立中高において実績に現在よりも大きな差が出て、教育格差は拡大することが予想されます。私自身、ゼロから10ヶ月でMARCH以上逆転合格をテーマに大学受験塾を経営していますが、入試改革後は逆転合格が極めて難しくなると思います。具体的に作問等が出されたタイミングでどうすれば効率的・効果的に生徒が出来るようになるかはHPにて検証していきます。

現在の一般入試・推薦入試・AO入試の区分が廃止され、国が定めた共通ルールにて入試を実施
現在、国の方針として大学入学希望者には全員、大学入学希望者学力評価テスト(仮称)を受けてもらう方向のようです。大学入学希望者学力評価テスト(仮称)を1次試験として受験した後に2次試験として各大学が用意した個別選抜試験を受験します。2次の試験内容は小論文・プレゼンテーション・面接等の単純な学力とは直接関係ない試験内容を実施し合否を決めます。

【小路永の視点】
国が筆記試験を作成し、実施することで大学側には2次試験の小論文・プレゼンテーション・面接等に時間とお金を使って生徒を多面的に評価して欲しいということだと思われます。決まっていない部分が多いと思いますが現状、運用における課題は大きく分けて3つあると思います。1つ目は「面接官の評価のばらつき」です。面接やプレゼンテーションは大学教授や大学職人が行うことが想定されます。人が評価するため生徒との相性や判断のばらつきはあるため適切な評価が出来るかということです。また受験者数を考慮しても数多くの面接官を用意する必要があり、大きなバラツキが予想されます。ちなみに2015年明治大学の志願者数は105,492人に対して専任教員数は572人でした。1次試験で人数を絞るにしてもかなりの数をこなす必要が考えられます。2つ目は1つ目に付随しますが「面接官の能力が適正か」ということです。普段、講義をしない大学職員が能力を見極める能力があるのか、もしくはある分野のプロフェッショナルである大学教員自体が面接などで生徒の能力を判断出来るか疑問が残ります。国としては面接・評価マニュアルのようなものを作成するとしていますが、運用出来るかどうかは不透明です。3つ目はマニュアルを使用した場合の「画一的な人材輩出の可能性」が考えられます。
同じような評価軸で判断されるということは同じような人材が合格する可能性が高いということです。結果的にグローバル人材が育成されれば良いのですが、多様な人々とコミュニケーションを取る、異質な人材が育つという視点では良いかは判断出来ません。二次試験の運用方法が提示されたタイミングで個人的な考えをHPにて更新していきます。

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